今回の演奏会でメイン指揮を担当したSです。
ご来場いただき、一つ一つの演奏に暖かい拍手をいただいた皆様、誠にありがとうございました。
そして難曲に一年お付き合いいただいた楽団の皆さん、ありがとうございました。
演奏会当日、楽器を引かない私はスーツ姿(サラリーマンの平服)に通勤カバン(指揮棒とスコアだけがいつもと違う)といういでたちでホールへ到着。「今から出勤?」と予想通りのリアクションにただ頷く。
今年は久々のパーカッション付と、ステマネなしの演奏会であったためリハーサルは例年より忙しく動き回ったものの何とか無事終了。
さて本番
・亡き王女のためのパヴァーヌ
音の響きとつながりを追求してきました。雲の上で王女が静かにステップを踏む情景が描けたのではないでしょうか。
・ハイドンの主題による変奏曲
一言で言うと「チャレンジ」。難曲ゆえ楽団メンバーには例年以上の負荷をかけてしまったと思いますが、凝縮されたエネルギーは本番が最高でした。なにより大きな流れを見失わずに最後まで演奏できたのが良かったと思います。ここまでのレベルに至るまでには長い道のりでしたが、表現力の可能性を再確認できた瞬間でした。
・アンコール
本番はずば抜けてよいでした。リハでは意図的に(時間がなかったせいもありますが・・・)演奏しなかったのですが、やはり音楽は演奏するときの気持ち次第でこんなにも活き活きするものだということを改めて感じました。
舞台に立つ以上、アマチュアとはいえわれわれは「エンターテナー」であるべきだと実感しました。
演奏会本番は人それぞれ思いは違いますが、私にとっては「聴き手と同じ感覚で音楽を演奏する唯一の時間」です。
指揮者の仕事の大半は合奏で曲を作ることであり、合奏時は複数のパートに耳を傾けながら常に神経を研ぎ澄ましている必要があります。そして次につなげるポイントを的確に指摘し、メンバーをひっぱて行くことにあると考えています
そんな指揮者でも唯一何も考えずに好きなように曲を聴けるのが、他ならぬ演奏会の本番でしょう。
楽器を弾かない私にとって、楽団では選曲~練習を通じてほぼ90%以上聴き手の視点でいます。
(奏者の視点はほとんどはいってません。楽団の皆さん、ごめんなさい)
そして、自分が聴き手であるとして作り上げた音楽を唯一本当の意味での聴き手として聴ける演奏会本番のわずか数十分というのは、大げさでなく至福のひとときであります。
皆様、本当にありがとうございました。
来年も充実した楽しい演奏ができればこの上ない幸せです。
・・・というわけで次は演奏者代表、よろしくお願いします。